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注目スピーカー「私が語る、この人の魅力」
竹内 弘高 Hirotaka Takeuchi
ハーバード・ビジネス・スクール 教授
「あなたが “Wise Leader”を目指すなら、
必聴の講演です」
佐藤信雄
ハーバード・ビジネス・スクール 日本リサーチ・センター センター長
竹内弘高先生は、ハーバード・ビジネス・スクール(以下、HBS)で教鞭をとられる、唯一のシニアな日本人教授です。長年、竹内先生の活動を拝見してきた私の視点から、先生の魅力を少しでも皆さんにお伝えできればと思います。
竹内先生と初めてお会いしたのは、私が1980年、社内留学制度でHBSに留学した時です。当時、竹内先生は助教授としてマーケティングの講義を担当されており、スポーツマンで快活な方だったため、当時から学生達に人気がありました。竹内先生との再会は、私が2009年に現職HBS日本リサーチ・センターのセンター長に就任した翌年の2010年です。竹内先生は一橋大学にて定年を迎え、教授としてHBSに着任されました。
魅力的な人柄で、深い学び体験を与えてくれる方
2011年の東日本大震災の後、東北への支援を行いたいという学生の想いに応えるかたちで、竹内先生はJapan Immersive Field Course(以下IFC、旧IXP)というMBAプログラムの選択科目を開始しました。この現地(field)にどっぷりと浸って(immersive)学ぶ体験型プログラムの一環として、来日した学生達を先生自ら東北の被災地に引率し、瓦礫の運搬や、被災地復興を支援する企業のインタビューなどを行いました。学生からの評価が高く、ひとつの国に連続して行けるのは3年までという慣例の中、9年間連続で実施されました。それは、座学で得た知識が、東北で過ごす日々で肚に落ちて知恵となる、という深い学び体験に、多くの学生達が感銘を受けたことと、ひとえに竹内先生のお人柄によるものです。
竹内先生は、立場の垣根なく学生と接し、偉ぶるそぶりが微塵もない方です。錚々たるビジネスパーソンとの広いネットワークもお持ちですが、みなさん先生を慕っています。学生への面倒見が良く、明るく、エンターテイナーとしても非常に優れた方で、学生達と一緒にカラオケに行き、歌や踊りを披露されます。「ズンドコ節」はその定番です。そんな教授は他にいませんから、学生達も驚くと同時に、竹内先生ととても親しくなるのです。
HBSが掲げるリーダーシップとは
「能力と人格を兼ね備えた人物」
竹内先生が教授として着任された2010年は、2008年のリーマンショックで金融業界へのバッシングが高まった時期でした。各界へのリーダーを輩出していたHBSでも、これまでのリーダー像の見直しを図っていました。時を同じくしてHBS第10代学長に就任したニティン・ノーリア(Nitin Nohria)教授は、かつてのリーダー像だった「権威を持ち、部下に対して指示・命令をする」ではなく、「能力と人格を兼ね添え、周囲に影響を与え人を動かしていく」人物がこれからのリーダーであると考え、HBSにおけるリーダーシップの定義を大きく方向転換しました。
竹内先生はまさにこのリーダーリップ像に合致する方だと思います。
竹内先生は、リーダーとは「ビジネスの推進と共に社会的問題も解決する人物」としています。前述のIFCは、学生が実体験を通して「リーダーとはどうあるべきなのか」「ビジネスの目的とは何なのか」という在り方について深く考えることで人格が養われていく、高い教育効果があるプログラムです。
一緒に仕事をしていて楽しい。
Wise Leaderを体現されている竹内先生
HBSには80ヵ国以上の学生が在籍し、IFCにも様々な国籍の学生が来日します。そういった多様性のあるコミュニティの中でも、人の魅力は万国共通で通じるということを竹内先生は体現されています。
ご自分の意見を押し付けることなく、必ず全員の意見を聞き、そこから本当に大切なことは何かを導き出すため、全員が深い理解と納得を得られるのです。IFCのプログラムづくりを竹内先生と一緒に行っている私も、とても楽しく仕事をしています。先生と接する中で強く思うのは「リーダーが経営に与える影響の大きさ」と、しかし「日本にはまだ多くのWise Leaderがいる」ということです。
今、日本企業は国際競争力を失いつつあります。竹内先生は2000年に出版したマイケル・ポーター教授との共著 『Can Japan Compete?(書籍和名:日本の競争戦略)』 にて、日本企業は戦略を持たないといずれ他の国の企業に追いつかれる、と警鐘を鳴らしていました。まさに懸念していたことが起きているのです。この状況を打破するため、竹内先生は、新しい事にチャレンジしていく若い世代への教育の大切さを、強く提唱しています。
竹内先生の講演「Strategy as a Way of Life」、生き方としての戦略は、HBSの、そして竹内先生のエッセンスに触れていただけるとても良い機会になると思います。ぜひこの機会に、日本の多くのビジネスパーソンに、グローバル競争で生き残る“Wise Leader”について学んでいただければと思います。
- INTERVIEWEE 語り手
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佐藤信雄
ハーバード大学ビジネス スクール 日本リサーチ・センター センター長
1978年慶應義塾大学経済学部卒業。日本興業銀行(現みずほコーポレート銀行)に入行後、ハーバード・ビジネス・スクールに留学し1982年にMBAを取得。ロンドン勤務を含めて主に資本市場関連の業務に従事。その後、世界5大エグゼクティブ・サーチ・ファームであるEgon Zehnder Internationalに15年勤務し、その間10年間パートナーとしてPEファームを含む金融機関を主なクライアントとしてコンサルティング業務に従事。2009年8月より現職。
- SPEAKER 講師
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竹内弘高
ハーバード大学ビジネス スクール 教授
- 講演内容
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生き方としての戦略Strategy as a Way of Life
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「あなたが “Wise Leader”を目指すなら、必聴の講演です」
佐藤信雄(ハーバード・ビジネス・スクール 日本リサーチ・センター センター長)
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「コーチングの神様から学んだ「成功するリーダー」の極意」
織井弥生(マーシャルゴールドスミス・ステークホルダーセンタードコーチング認定コーチ/国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ/YESコンサルティング合同会社 社長)
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「あらゆる概念・事象を統合し、今も進化し続けるマーケティングの大家」
鳥山正博(立命館大学ビジネススクール 教授)
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「経営・マーケティング・数学・統計学・・・幅広い知見と経験に圧倒されます」
齊藤喜之(トランスコスモス株式会社 グローバル事業統括 CX事業戦略統括部 CX企画部 部長)
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「しなやかに変革を促す コラボレーション・リーダー」
ケイティ堀内(H&Kグローバル・コネクションズ 共同創業者 代表 グローバル・プロデューサー / ディレクター)
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「文化と伝統の復興が、国際社会での日本の価値を創造する」
ワールドマーケティングサミットジャパン 編集チーム
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「まるで、ひとつの生態系のよう。有機的に世界を観測する「知の巨人」」
ハーバード・ビジネス・レビュー 編集部 肱岡 彩