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【講演レビュー記事】マーケティングの父・コトラー教授、平和とビジネスの未来を次世代の女性リーダーへ語る

 2022年、戦後、これほど平和を心の底から求めた時代はあっただろうか? SDGsの実践や、持続可能な社会実現のためのマーケティングやビジネスを学べば学ぶほど、それらが平和構築と密接に関わっていることに気づくだろう。

 ウクライナにルーツを持ち、現代マーケティングの父といわれるフィリップ・コトラー教授は、2010年、中東の富豪から「Ca we market Peace? (平和はマーケティング出来るか?)」という問いを受けた。その質問者は、奇しくも、911の首謀者あるオサマ・ビン・ラディンの悲劇を経験した家族から来たものだった。コトラー教授は、企業のみならず、より良い社会の実現に向けて、そして平和の実現に向けて、マーケティングをいかに進化させるべきかを生涯にわたり研究してきた。

 本講演では、90歳を超えたコトラー教授が、若手女性リーダーである平野未来氏(株式会社シナモンCEO)に、次世代へのメッセージを託す形での対談となっている。コトラー教授は、マーケティングの役割、SDG、ESG、持続可能な社会を実現するために重要なマーケターとしての考え方や姿勢、平和のために、ビジネスが貢献できること等、多くの示唆や問いを与えている。

 その中で、目をとめたのが、コトラー教授が「経済モデルを変革すべき時期が来ている」と警鐘を鳴らした点だ。戦争が起こり、激しい気候変動が世界に着実なダメージを与え、これまでのビジネスの土台は危うく揺らいでいる。成長することが目的だった経済を突き詰めることで、環境が破壊され、不安定な社会をもたらし、平和が維持できなくなってしまうからだ。

 コトラー教授は、どのように商業マーケティングを正しくシフトさせ、持続可能で、平和な社会に貢献できるのかを、さまざまな視点で持論を語っている。

 さらに、コトラー教授は、世界平和を妨げている真の理由に言及。そして、平和構築のために企業ビジネスの担うべき役割と、世界平和に貢献する本当の解決策を述べている。コトラー教授は、「戦争と環境事故で多大な苦痛を経験した日本は、最高のピースメーカーになりうる」と言い、私たち日本人にも大きな期待を寄せた。本講演では、2016年にコトラー教授が招聘された 広島の平和会議での様子も映像で紹介されている

 マーケティングに期待される世界平和への貢献とは。そして、今後ビジネスの持つ力が向かうべき方向とは。哲学にも等しい、コトラー教授からのメッセージ。これは、SDGs、ESGが注目される現代、全ビジネスパーソン必聴の対談である。

(ワールド マーケティング サミット編集部)

2016年コトラー教授が広島にて参加した会議 「国際平和のための世界経済人会議~平和のためのマーケティング~」ハイライト映像

映像提供:広島県 / 制作:H&Kグローバル・コネクションズ

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