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【講演レビュー記事】 CSVの先駆者 ネスレに学ぶパーパス経営の実践、ネスカフェの取り組み
スイスに本社を置くネスレ(Nestlé S.A.)。世界最大の食品メーカーである。代表的ブランド「ネスカフェ」のコーヒーを、職場や家庭で愛飲している人も多いだろう。そのネスレ、そしてネスカフェが、当時の社会課題を解決するために生まれた企業であり、ブランドであるというのをご存じだろうか?
「世界186ヶ国、10億個の商品を発売するネスレには、社会により良い影響を与える責任がある」と語るのは、ネスレ日本株式会社 執行役員コーポレートアフェアーズ統括部長の嘉納未來氏である。
栄養不足により乳幼児の死亡率が高かった1800年代のヨーロッパにおいて、ネスレ創業者であるアンリ・ネスレが乳児用粉ミルクを開発したのが、ネスレ創業のきっかけ、そして基盤となった。そして、かつて世界恐慌で大暴落したコーヒー豆の販路確保を、ブラジル政府がネスレに依頼したことから生まれたブランドがネスカフェだ。
このアンリ・ネスレの想いは現在も脈々と継承され、ネスレが行っているサステナビリティの先、リジェネレーションへの取り組みに影響を与えている。「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代の人々の生活の質を高めていく」というパーパスを掲げるネスレでは、このパーパスを達成するためのアプローチ、CSVを事業活動の根幹を成すものとしているのだ。
嘉納氏は、講演で、ネスレのパーパスを実現するためのネスカフェでの取り組みの数々を紹介している。これらの施策は、人々、コミュニティ、地球という3つのエリアに良い影響を与えることを目的としているという。
消費者へ1杯のおいしいコーヒーを届けることに始まり、20ヵ国以上で1300万袋のコーヒー生豆を購入する企業として、世界中のコーヒー生産コミュニティに対する責任を果たすべく、再生農業を主軸に数々の取り組みを行っている。
そして2025年までに、製品パッケージを100%リサイクル・リユース可能にする等、責任ある調達を目指しているという。講演では、嘉納氏が各活動について詳細な数値付きで紹介、サステナビリティへの高いコミットメントが伺える。
一本の苗から1杯のコーヒーができるまで、全てのバリューチェーンにおける企業活動を、いかに循環経済に活かしていくのか。
CSVの先駆者であり、持続可能性への取り組みに挑戦し続けるネスレの姿は、サステナブルな企業の在り方の理想的な模範となるのではないだろうか。
本講演を視聴することで、SDGsの活動がパーパスや理念と結びつき、その実践が事業活動の根幹ともなっていることを学べるだろう。
(ワールド マーケティング サミット編集部)