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【講演レビュー記事】 サステナビリティと行動変容の専門家が語る、ビジネスを成功に導くインサイトの紹介

本講演は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 アンダーソン・スクール・オブ・マネジメント(UCLA Anderson School of Management)のドミニク・ハンセンズ教授と、サステナビリティと行動変容の専門家である、ミレイ・タカシマ・クレアモン博士の対談形式で行われている。

クレアモン博士は、東京出身であるが、現在は、LAを拠点にしている。故ゴルバチョフ大統領が創設した国際的な非営利団体「グローバル・グリーン」のディレクターも務め、「行動的サステナビリティ」という新しい概念を提唱している。

SDGsが提唱され、企業がサステナビリティを重要視し、持続可能な社会づくりへのアクションが求められている現代。環境問題に真摯に対応しているように見せかけ、実を伴わない施策「グリーンウォッシュ」だと指摘され、非難を浴びる企業の事例が増加しているという。

グリーンウォッシュについて意見を求められると、クレアモン博士は、消費者による商品やブランドの選択基準として、価格や品質と同じく、”環境への配慮”を挙げる今、企業の誠実さに陰りがあると、それは商品、ブランドへの信頼度に直結し、ある産業では収益低下に結びついたデーターがある、と説明する。

では、企業はどのようにサステナビリティに対し考え、行動すればよいのだろうか。講演では、具体例として、以下の5つのインサイトが挙げられている。

1.誰とビジネスをするか 
2.消費者や顧客が求めるのは誠実さと透明性 
3.サステナビリティは富裕層だけのものではない 
4.持続可能性という属性が全てではない 
5.サステナビリティと企業の寿命の関係

それぞれのインサイトに対し、ハンセンズ教授とクレアモン博士は、スライドを使いながら具体的な事例を示し、その背景や理由を説明している。中でも注目して欲しいのは、5つ目のインサイトである。驚くことに、世界で最も古い企業トップ5の4社が、日本の企業であり、世界最古の企業は、聖徳太子の時代まで遡り、西暦578年に創立された日本の建設会社である、という。

ここで、クレアモン博士は、サステナビリティは長期的に行われるべきものとし、自然災害や経済不況等、長い年月を過ごせば必ず起こる困難の中で、どう生き残るのかがサステナビリティの定義だと語る。

さらに、「日本では顧客だけでなくベンダーやサプライヤーも大切にする」と、すべてのステークホルダーとの繋がりに投資する日本企業の体質を紹介し、「相互に繋がっているという包括的な観点が必要」と語る。

これについてハンセンズ教授は、「日本は長寿を達成する方法を世界に示している」と自身の見解を述べた。

サステナビリティの実践は、ただ単にリストをチェックし、指標をクリアするだけではない。社会課題だけでなく、消費者のニーズや動向まで深く理解し、企業のパーパスやバリューといった企業のDNAに組み込む姿勢でないと、長期的な成功はありえない。

本講演は、SDGs, ESGの実践にむけて、ビジネスの基本方針を策定する際に参考となる内容である。

(ワールド マーケティング サミット編集部)

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