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注目スピーカー「私が語る、この人の魅力」
土谷 佳代子 Kayoko Tsuchiya
株式会社Seekers Base Japan CEO
「文化と伝統の復興が、
国際社会での日本の価値を創造する」
ワールドマーケティングサミットジャパン 編集チーム
株式会社Seekers Base Japan CEOである土谷 佳代子さんは、イノベーション型の人材育成を目的とした、グローバルな教育環境をつくる事業を中心に展開しています。28年間をアメリカで過ごし、日本に帰国後、繋がりのある世界のエコシステムリーダー達と話すうちにたどり着いたというコンセプト「社会的インパクトを推進する事業に、誰もが参加するにはどうしたらいいだろう?」を掲げ、国際社会における日本の存在価値向上を目指す土谷さんにお話をうかがいました。
日本の有意義な存在価値を国際社会に伝えていく
「今や大量生産・大量消費の時代は終わり、個の時代になりました。同時に、先行き不透明なVUCA時代に突入しています。ビジネスの効率化やテクノロジーの進化はもちろん大切ですが、一体その先には何があるのでしょうか。私は、そこには『文化』が指標として存在していると考えます。
文化・伝統を引き継ぐこと、徹底的な文化価値の創造を行うこと。そして、その重要性を伝える教育をしなければ、近い将来シンギュラリティに到達した時、次世代はこの日本でどのような世界をつくりあげるのでしょう」と、土谷さんは語ります。
「日本では今、サステイナブル・エコノミーの中心である地場産業や伝統産業が顕著に衰退しています。ハード面だけでなく、深い部分に存在し続けてきたソフトの部分、つまり、日本独自の文化的価値を海外に伝え、国際市場においてその価値をアピールしていく積極的なコミュニケーションの必要性を強く感じています。今の私達は、私達のことを国際社会に知ってもらう機会を逃しているのではないでしょうか」
原動力は「危機感」
土谷さんは20代前半で単身渡米し、20代後半で教育テクノロジーの会社を共同設立しました。長い海外生活を過ごしたからこそ、外部からの目線で日本を見た時に、ある「危機感」を覚えたと言います。
「経済力の低下、少子化の進行、日本の国際的な影響力が下がっている中、今後日本はどうしたら国際社会での存在価値を保てるのでしょうか。 例えば、私は何度もインドに渡航していますが、インドの50代はまだ日本に対し尊敬の念を持っているものの、 感度の高い20代のデザイン学生達は日本のことを何も知りません。このような部分に、非常に危機感を感じるのです」
現在様々な事業を展開し、特に教育事業に力を入れている土谷さんは、この危機感がすべての活動の原動力だと語ります。また、西洋化によって日本が失った精神性と文化の強い結び付きの復興を提唱しています。
「日本のビジネスシーンにおいて、スピリチュアリティ(精神性)という言葉は口に出しにくい傾向がありますが、他国では、精神性は生活の一部です。これから西洋化が拡がるエリアにおいては、これまでに日本が辿った道をそのまま進むのではなく、成功例にフォーカスして欲しいと思います。そして、日本と一緒にイノベーションを起こすメリットを見出して欲しいのです」
次世代のビジョンは、
異なる文化を持つ者同士がつくりあげるもの
“次世代型人材スキルの開発”を課題としている土谷さんは、現在習得しているスキルは未来には不要となると考え、その代わりに必要となる新しいスキルは「芸術性、アート思考」と「共鳴を呼ぶコミュニケーション力」だと語ります。
「アートはダイバーシティであり、国や文化の垣根を超えたコミュニケーションが可能です。今はクロスボーダーで色々な価値創造ができる時代です。これからの未来を築き上げるためには、違う文化を持つ者同士が切磋琢磨し、積極的にコミュニケーションをとりながら、次世代のプロジェクトやビジョンをつくっていく必要があると考えています」
最後に、WMSに寄せる想いを語っていただきました。
「今回このWMSにスピーカーとしてご招待いただいたことに大きな意味を感じています。私は国際社会において、日本人女性というマイノリティに属するわけですが、 個の時代だからこそ、立場や垣根を越えて、自分の理念を実現し、社会的なインパクトを起こしていきたいと考え、行動する人がもっと増えて欲しい。同じ未来を見据える仲間が増えて欲しい。そう願い、勇気を出して登壇させていただきました。私は、私自身の事を伝える者ではなく、今まで見てきた数々の事例を世の中へ伝える代弁者であると捉えています。WMSを通し、みなさまと共に勉強していけたら、とても嬉しいです」
- INTERVIEWER 聞き手
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ワールドマーケティングサミットジャパン 編集チーム
- SPEAKER 講師
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土谷 佳代子
株式会社Seekers Base Japan CEO
- 講演内容
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クロスボーダー協働による伝統産業の革新と価値創造Beyond Progress
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「あなたが “Wise Leader”を目指すなら、必聴の講演です」
佐藤信雄(ハーバード・ビジネス・スクール 日本リサーチ・センター センター長)
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「コーチングの神様から学んだ「成功するリーダー」の極意」
織井弥生(マーシャルゴールドスミス・ステークホルダーセンタードコーチング認定コーチ/国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ/YESコンサルティング合同会社 社長)
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「あらゆる概念・事象を統合し、今も進化し続けるマーケティングの大家」
鳥山正博(立命館大学ビジネススクール 教授)
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「経営・マーケティング・数学・統計学・・・幅広い知見と経験に圧倒されます」
齊藤喜之(トランスコスモス株式会社 グローバル事業統括 CX事業戦略統括部 CX企画部 部長)
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「しなやかに変革を促す コラボレーション・リーダー」
ケイティ堀内(H&Kグローバル・コネクションズ 共同創業者 代表 グローバル・プロデューサー / ディレクター)
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「文化と伝統の復興が、国際社会での日本の価値を創造する」
ワールドマーケティングサミットジャパン 編集チーム
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「まるで、ひとつの生態系のよう。有機的に世界を観測する「知の巨人」」
ハーバード・ビジネス・レビュー 編集部 肱岡 彩