WMS RECOMMENDs連載「プロが選んだオススメ講演」

連載「プロが選んだオススメ講演」

第1回 プロが選んだおススメ講演 徳力基彦 Noteプロデューサー

徳力基彦

“僕は、ワールドマーケティングサミットというのは、未来の予言が含まれていると思う”

5年前にも警鐘を鳴らしていた フィリップ・コトラー教授

僕は、ワールド マーケティング サミットというのは、未来の予言が含まれていると思っています。例えば、コトラー教授は、5年前に「Digitalize or Die (デジタル化しなければ、企業は死ぬ)」とおっしゃっていました。コロナを予言したわけではありません。しかし、5年前の2015年の段階で、コトラ―教授は、「デジタル化しなければ、企業は死んでしまう」という警鐘を鳴らされた。そして、5年後も今と同じビジネスをやっていたら、会社は生き残れないよとおっしゃっていたんですよね。実際に今回のコロナ禍で、デジタル化できてなかった企業は、本当にそれに近い状態になったケースもあるわけです。

我々実務家にとって、学者の方々とか、偉い先生のお話って、ちょっと高尚すぎて、現場に役に立つのかなみたいになりがちです。しかし、5年前のコトラー教授の記事やお話を振り返ると、ちゃんとこういう話を参考にして、ビジネスに関して長期的な視点で判断をしてかなくちゃいけないんだなっていうのを、改めて思いました。

カスタマー・エンゲージメントの大家 V.クマー教授

クマー教授は、4年前のワールド マーケティング サミットでも、カスタマー・エンゲージメントの効果測定のマトリックスを紹介されていて、僕もそれをアジャイルメディアで使わせていただきました。クマー教授は、本当にカスタマー・エンゲージメントの大家ですよね。今回も、カスタマー・エンゲージメントとイノベーションの関係性を理論的に説明されていて、その価値をロジカルに効果測定することが可能であるということが学べて、とても面白かったです。

フェイスブック社 イタリア ベロニカ・シヴィエロ氏

まず、フェイスブックの人がサービスの紹介以外で講演することがすごく珍しいと思います。ソーシャルメディアのプラットフォーム側の立場で、「ソーシャルメディアは、ネガティブよりもポジティブな影響があるのか?」というタイトルの講演をされたので、ソーシャルメディア側の僕としては、気になりました。講演の中では、結構はっきりと、「インフルエンサー・マーケティングについて、ここが問題だ!」というようなことを述べられていました。ソーシャルメディアをビジネスにされたり、関わっている方々にとっては、フェイスブックの中の人から見たネットの課題や解決策が提示されていて面白く聞けると思います。ワールド マーケティング サミットだからこそ見れる、貴重なコンテンツでしたね。

サミット全体の感想

ワールドマーケティングサミットは、第2回目からアンバサダーをさせていただいて、非常に思い入れがあるイベントですが、今回はオンラインの取り組みが本当に凄かったです。
世界を繋ぐと、48時間マラソンのようで、スケールが大きいなと思いました。

ちなみに、3~4年前にコトラー教授と直接お話できる機会がありまして、「先生がサミットで話されている事は、“三方よし”という日本の昔の概念に近い部分があると感じます。」と、お伝えしたことがあります。コトラ―教授は、「そうなんだ。日本には良いマーケティングのお手本がたくさんあるのに、行き過ぎたアメリカの資本主義の真似ばっかりした為に、おかしくなった」、とおっしゃってました。

僕は、日本のマーケティングの良いところを忘れてはならないと、ワールド マーケティング サミットに参加する度に思い起こされる感じがします。今回のオンライン版のサミットをご覧の方にも、いろんな刺激を受けていただければと思います。

関連ページ:
動画/ワールドマーケティングサミット 2015 ハイライト映像
コトラー先生の”Degitalize or Die”という名言をぜひご覧ください。