WMS RECOMMENDs連載「プロが選んだオススメ講演」

連載「プロが選んだオススメ講演」

第4回 プロが選んだおススメ講演 石橋昌文 ネスレ日本株式会社 専務執行役員

石橋昌文

“デジタルを活用し、グローバルに開催。さまざまなトピックから、興味がある分野の講演を自由に選べる”

ブランド、マーケティングに携わる方必見
デービッド・アーカー教授&ローラー・ライズ氏

ブランドやマーケティングに携わっている私としては、デービッド・アーカー先生と、ローラ・ライズさんの講演が、すごく面白かったと思います。過去のサミットでも、何度か講演を聞いていて、すでに理解はしていましたが、それでも、すごく楽しみながら聞ける講演でした。マーケティングに携わっている方にはおすすめです。

DXの真の目的を知る ドミニク・テュルパン教授

イチオシは、IMDのドミニク・テュルパン先生ですね。私自身、IMDで学んだということもありますが、それを度外視しても良い内容でした。彼は、最近DX(デジタル トランスフォーメーション)の話をよくしていまして、DXというのは顧客体験の改善であると。デジタルというのはツールでしかなく、デジタルを使ってどうやって顧客体験を改善するのかを考える、それが本来のDXであり、そこを間違えるとうまくいかないということを話されています。そして、一番大事なのは、やはり顧客のことを深く理解し、顧客の問題解決をするということで、それがビジネスで勝つための必要条件であるという話をしていました。

テュルパン教授は、「HAVEモデル(ハブモデル)」についても話をされていました。HはHumble(謙虚さ)、AはAdaptation(適用)、VはVision(ビジョン)、それからEがEngagement(エンゲージメント)です。他の人が、自分よりも知っていることを理解する「謙虚さ」が必要であり、変化への「適応」することも大事であると仰っています。また、COVID-19のような今後の見通しが読みづらい状況においては、長期的な方向性を持つ「ビジョン」が必要であり、そのうえで、内部、外部を問わず、コミュニケーションをきっちり取るという点で「エンゲージメント」。この「HAVE」が、今後、アジャイル(俊敏)な組織を作っていくために重要である、という話をされていました。

ジョブ理論を紹介 マーク・オリバー・オプレスニク教授

彼は、ドイツのリューベック大学の教授ですが、自身の話というよりも、ジョブ理論を紹介されていました。クリステンセンさんのお話や、ミルクシェイクのお話など、おなじみの話もされていましたが、内容がすごく面白いと思って聞いていました。

マーク・オリバー・オプレスニク
マーク・オリバー・オプレスニク

Z世代との向き合い方 サディア・キブリア氏

“ソーシャルプロナシップ(Socialprenuership)“というタイトルで使われているこの言葉は造語ですが、サディアさんは、ジェネレーションZ(=Z世代)、あるいはミレニアム世代に焦点を当てて話されていました。彼らにきちっと向き合うには、Cause、つまり、“大義”は何なのか。単にファンクショナル(機能的)な面だけでなく、エモーショナル(情緒的)な意味合いを製品にもたらすにはどうすればいいのかと。そういったことを考えないと、この世代に向けてビジネスを展開するのは難しいのではないかという投げかけをされていて、Z世代やミレニアル世代のインサイトが盛り込まれていて、面白いと感じました。

サミット全体の感想とおススメ活用法

今回、デジタルを活用して、オンラインで、グローバルで開催できたことで、世界中から80名以上もの素晴らしいスピーカーをお呼びすることができました。11月6日と7日は、非常に内容の濃い48時間だったと思います。

各スピーカーのトピックは多種多様でしたので、自分が興味のある講演を探して、選んで参加していただけるという意味で、まるで百科事典のようでした。80名以上の方々が登壇したので、たいへん面白い内容だったと思います。ライブを見逃した方は、3月31日まで、LOD (Learning on Demand)というアーカイブ化された映像を視聴できます。私自身もたくさん視聴したいと思ってます。

すでに、来年のサミットについて、どのように開催するのか、関係者の間で議論もスタートしました。さらに良い内容となることを目指しますので、ご期待ください。